刃物業界で使われる用語集【製造工程版】
彫刻刀や木彫ノミのことを調べている時に「これってどういう意味だろう?」「なんて読むんだろう?」「自分が知ってた言い方と違う」と思うことはありませんか?
刃物業界に限らずどの業界にも専門用語があると思いますが、今回は今までブログで出てきた用語も出てきてない用語も含め、刃物業界で使われる専門用語の中から「製造工程」の用語を中心に紹介していきます。
彫刻刀や木彫ノミのことを調べる際の参考になればと思います。
あ
・荒砥(あらとぎ)
目の荒い砥石を使って大まかな刃を付ける工程のこと。
刃付けの作業工程のひとつ。
か
・片刃(かたば)
片側だけに刃が付いている刃物のこと。
関連用語:両刃(りょうば)
・桂(かつら)
・口金(くちがね)
・研磨(けんま)
グラインダーや砥石を使って削る工程のこと。
・コミ(こみ)
柄に入る部分のこと。
さ
・地鉄(じがね)
軟らかい鉄のこと。「軟鉄」「極軟鉄」とも言う。
・全鋼(ぜんこう)
彫刻刀や木彫ノミの刃先が全て鋼のもの。
関連用語:二層鋼(にそうこう)
た
・鍛造材(たんぞうざい)
鋼と地金をロール圧延により接着し、形状厚みから難しいといわれるノミの鍛造を圧延と同時に成形した高品質な材料のこと。
・鍛錬(たんれん)
鋼を繰り返し叩くことで粘土のような粘りを持たせて強度を増すとともに、不純物を叩き出し、鋼を強く鍛える作業のこと。
・研ぎ直し(とぎなおし)
切れなくなった刃物を切れるようにする作業のこと。
な
・中砥(なかとぎ)
荒砥の時より目が細かい砥石を使って刃を付ける工程のこと。
刃付けの作業工程のひとつ。
・二層鋼(にそうこう)
鋼と地鉄の二枚の金属で構成されたもの。
関連用語:全鋼(ぜんこう)
は
・ハイス鋼(はいすこう)
鋼の中でもっとも硬いと言われている鋼のこと。
「ハイス」とはハイスピードスチールが縮まったもの。「高速度鋼」とも言う。
・鋼付け(はがねづけ)
地鉄と鋼を接合させる工程のこと。
・刃丈(はたけ)
刃の長さのこと。
・刃付け(はつけ)
刃物に刃を付ける工程のこと。
・刃幅(ははば)
刃の幅のサイズのこと。
・バリ(ばり)
刃を研いだ後に出るザラザラとした引っかかる鋼のカスのこと。「かえし」とも言う。
・火造り(ひづくり)
金属を加熱して、大まかな形を作る工程のこと。
・複合鋼材(ふくごうこうざい)
鋼と地金をロール圧延により接着された材料のこと。
や
・焼き入れ(やきいれ)
鋼を硬くする作業のこと。焼き入れすることで鋼は硬くなりますが、そのままではもろく、割れなどが生じやすい状態。
・焼き戻し(やきもどし)
焼き入れしたものを再加熱して硬さを調整しながら、粘りや強靭性を高める作業のこと。
・安来鋼(やすきはがね)
切れ味に影響を与えてしまう不純物を極限まで取り除いた鋼。
・安来鋼青紙(やすきはがねあおがみ)
白紙にタングステンやクロムを加えた安来鋼の中でも最も硬く摩耗に強い鋼。
・安来鋼黄紙(やすきはがねきがみ)
一般的な家庭用の刃物に使われるJIS SK材から不純物を取り除いた鋼。
・安来鋼白紙(やすきはがねしろがみ)
黄紙からさらに不純物を取り除き炭素を加えた鋼。
ら
・両刃(りょうば)
右面左面に刃が付いている刃物のこと。「諸刃」とも言う。
関連用語:片刃(かたば)