彫刻刀の仕組みについて
彫刻刀を使っている方はたくさんいると思いますが、どのような構造になっているか知らない方もたくさんいると思います。
今回は弊社の彫刻刀の仕組みについて説明していこうと思います。
彫刻刀の刃について
↑柄が入っていない刃だけの状態の彫刻刀(刃の長さは約11㎝)
以前の記事の「彫刻刀の切れ味は鋼の硬さと薄さで決まる」でお話しさせて頂きましたが、弊社の彫刻刀は二層鋼の彫刻刀になっております。
二層鋼の彫刻刀、これは軟らかい地鉄(じがね)に鋼が付けてあるもので、切れ味も良いですし、研ぎやすいというのが特徴です。
鋼には黄紙、白紙、青紙という種類があり、黄紙が軟らかく青紙が硬い鋼になります。
弊社の彫刻刀には青紙スーパーという青紙の中でも更に硬い鋼を使用しています。青紙スーパーは硬く切れ味の持続性があるのが特徴です。この青紙スーパーは全国でも数社のメーカーしか使用していません。
なぜ青紙スーパーを使用しているかというと、弊社の彫刻刀をお使いのお客様はプロではなく一般の方(彫り物教室の生徒さんなど)が多いので、なるべく研がなくてもいい切れ味の持続性がある硬い鋼を使用した方が良いと思い、青紙スーパーを採用しています。
彫刻刀の柄について
↑彫刻刀の柄(柄の長さは約18㎝)
彫刻刀の柄は弊社では入れることが出来ないため木工屋さんにお願いしております。
柄を入れて頂いている職人さんは腕が良く信頼できる柄入れをいつもして頂いています。
彫刻刀の柄に使用される材質として桜、朴木(ほおのき)、樹脂製などがあり、長さも10cm、13cmなどメーカーによって違います。
弊社では朴木を採用しており、長さは約18cmになります。
朴木は柔らかく、使っていくうちに手に馴染んできます。
画像では分かりにくいですが彫刻刀の刃を柄に差し込むだけではなく、木を半分にして彫刻刀の刃を差し込んでから貼り合わせています。このやり方のほうが柄から刃が抜ける心配はありません。
また、刃の半分ぐらいが柄に入っているので、折れる心配もありません。
柄に仕込む部分は下記の画像の箇所になります。
柄に入る部分は約6センチになります。
画像の三角形になっているところは「コミ」と言います。コミの先を90度に曲げて柄に差して抜けないようにしています。
完成した彫刻刀
全長は約22㎝になり、柄から出ている刃の長さは約3.5㎝になります。
刃の半分ぐらいが柄に入っているので、研いでいって短くなってきたら柄をナイフなどで削り、刃を出すことが可能です。
まとめ
メーカーによっては刃の長さ、柄の長さ、鋼などに違いがあります。また、柄に差し込む方法が違ったりとメーカーによって様々な違いがあります。
これらを全てお話しすると情報量が多くなり、訳が分からなくなると思いましたので、今回は弊社の彫刻刀の仕組みのことだけをお話しさせていただきました。
もっと細かいことも画像含めあるのですが、そこは企業秘密のところもあるので割愛させていただきました。
次回は木彫ノミの仕組みについてお話ししようと思います。