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彫刻刀の切れ味は鋼の硬さと薄さで決まる

公開日: 2020.07.01

彫刻刀を選ぶ時に一番気になることと言えば「切れ味」だと思います。

しかし、切れ味の良さは、使わずに判断するのは難しいですし、極端な話どんな彫刻刀でも初めはそれなりに切れ味は良いです。それよりも使っていくうちに切れ味が落ちていきますので、「切れ味の持続性」という点で彫刻刀を選ばれるのがいいかと思います。

まずは彫刻刀の切れ味を説明するに欠かせない「鋼」のことを知って頂くことで、ご自身の使い方や掘るものに合った彫刻刀を選んで頂けるようになるかと思います。

刃物は硬い鋼ほどよく切れる

鋼は硬ければ硬いほどよく切れ、切れ味の持続性(切れ味の長持ち)があるということをまずは憶えておくといいと思います。ただ、硬ければ硬いほど研ぐ時に大変だということも一緒に憶えておかないといけません。

それを踏まえた上で、彫刻刀で使われている鋼についてお話していきます。

一般的に彫刻刀で使われている鋼は、①全鋼のもの、②二層鋼のもの二種類があります。

因みに、価格は①も②も鋼の硬さに比例しています。

研ぎに慣れている方は全鋼のものでもいいですが、慣れていない方は二層鋼のものをお勧めします。

全鋼の彫刻刀

①の全鋼の彫刻刀というのは文字の通り、刃の部分全部が鋼で硬いので切れ味は長持ちします。ただ、よく勘違いされていますが軟らかい鋼より硬い鋼の方が欠けやすいです。こちらも憶えておくと良いかと思います。

全鋼の彫刻刀は色々ありますが、鋼の中で一番硬いと言われているのは「ハイス鋼」で、切れ味は良いですが、硬い分、研ぐのが難しいです。

二層鋼の彫刻刀

②の二層鋼の彫刻刀、これは軟らかい地鉄(じがね)に鋼が付けてあるもので、切れ味も良いですし、研ぎ易いというのが特徴です。

切れ味の持続性は鋼の種類によって違いがあります。

使われている鋼は大きく分類すると黄紙(きがみ)・白紙(しろがみ)・青紙(あおがみ)とあります。

鋼が硬い順でいうと青紙⇒白紙⇒黄紙です。研ぎが難しいのも同じ順になります。

弊社の彫刻刀はこの二層鋼のものになり、鋼に青紙の中でも特に硬い青紙スーパーを使用しています。この青紙スーパーは全国でも数社のメーカーしか使用していません。

刃物は薄ければ薄いほどよく切れる

鋼の次に切れ味で大事なのは、刃の薄さです。簡単に言うと刃物は薄ければ薄いほどよく切れます。

ただ、薄さと言ってもどこを見て薄いと判断するかわからないと思うので、判断基準として下記の4パターンを参考にして頂ければと思います。

  1. 刃物部分は薄く、刃の角度が鋭角なもの。
  2. 刃物部分は薄く、刃の角度が鈍角なもの。
  3. 刃物部分は厚く、刃の角度が鋭角なもの。
  4. 刃物部分は厚く、刃の角度が鈍角なもの。

切れ味の順でいうと①⇒③⇒②⇒④となります。刃先が欠け易い順も同じです。

薄さは皆さんが彫る物や彫る時の角度によって色々あると思います。一番いいのは自分にあった彫刻刀に出会うのが一番なんですが、もし出会えなかった場合は購入してから自分で研いで刃の角度を調整するのがいいと思います。

また、購入した彫刻刀の鋼によって刃の角度を調整するのもいいと思います。その時のアドバイスとしては、刃先を薄くしすぎると欠けやすくなるので、硬い鋼のものは刃の角度を鋭角にし過ぎない方が欠けにくくなります。

弊社の彫刻刀は地鉄に鋼が付けてある二層鋼のもので、鋼は青紙スーパーを使用しています。薄さは約2㎜になります。この鋼は硬いほうで、薄さは他のメーカー様のものよりは薄いほうです。鋼が硬いほうなので、欠けにくくするため刃の角度は鋭角過ぎない約20度になっております。

彫る木の硬さによって選び方を変える

ここまで説明してきた通り、彫刻刀の切れ味というのは『鋼の種類』と『刃の薄さ』で決まるということが分かったと思います。

彫刻刀は研げば切れるようになりますが、やはり切れ味がどのくらい続くか(切れ味の持続性)が大事です。

そして、彫る木によっても選び方は変わってきますので、ここでは一例を紹介します。

弊社の彫刻刀を使って頂いている仏師さんが言うには、檜など軟らかい木を彫る場合は、切れ味の良い彫刻刀で彫ると削った部分に艶が出るぐらい綺麗になるので、仕上がりの全体的な統一感を出す為に切れ味の持続性のある彫刻刀を使った方が良いと言っていました。

欅などの硬い木を彫る場合は、硬い鋼(弊社でも使用している青紙スーパーなど)を使用している彫刻刀を選ばれると良いと思います。硬い鋼は欠けやすいので、鋭角すぎる場合は角度を調整するのも良いと思います。

切れ味の持続性のある彫刻刀の方が作品作りに時間がかかりません。なぜなら、切れ味がすぐ落ちるものを使用していると研ぐ回数が増えるためです。

まとめ

色々と説明してきましたが、購入してすぐの切れ味も重要ですが、「切れ味の持続性」も作品作りの質を上げるのに重要だということがお分かりいただけたでしょうか。彫刻刀を購入する際は鋼の硬さ、薄さ、角度を気にしていただけるとご自身に合った彫刻刀を選んで頂けるかと思います。

少し知ってくると鋼の種類のことなど更に疑問が出てくると思います。

それはまた次回、お話しさせて頂きます。