刃物が切れなくなる仕組みと彫刻刀・木彫ノミの研ぎ
彫刻刀、木彫ノミなど刃物について回る問題が「研ぎ」だと思います。
切れなくなってしまった刃物の研ぎを自分で研いだほうが良いのか、研ぎに出したほうが良いのか悩まれているところだと思います。
今回は研ぎについてお話していきたいと思います。
ただ、研ぎのお話をする前に、これを知っていると研ぎをするとき役に立つと思う「刃物が切れなくなる仕組み」を少し説明させて頂きます。
刃物が切れなくなる仕組み
彫刻刀や木彫ノミなど刃物は使っていくと切れなくなっていきます。
多くの方は刃物がどうなると切れなくなるか知らないと思います。
なぜ切れなくなるのかというと、刃物は刃先が丸くなってくると切れなくなってきます。
少しわかりづらいので彫刻刀の図で説明させて頂きます。
このように丸くなってしまったら、研がないといけないサインです。
このことをふまえて本題の「研ぎ」のお話にいきます。
自分で研ぎ直しする場合の注意点
切れなくなった彫刻刀・木彫ノミは研ぎ直しをしてあげないといけません。
研ぎが得意な方・出来る方・チャレンジしたい方は、何点か注意点がありますので説明します。
1.刃先だけでなく刃全体を砥石にあてて研ぐこと
刃先だけ研ぐと「刃物が切れなくなる仕組み」でお話しした、刃先が丸くなって切れないのとほぼ同じ状態になります。
刃先だけ研ぐと、研いだ直後は切れますが、すぐに刃先が丸くなってしまい切れなくなってしまいます。
そうすると、またすぐに研がないといけなくなります。この繰り返しをしていくと、どんどん刃先が厚くなっていき、より切れなくなったり、研ぎ難くなったりしていきます。
なので、研ぐ時は下の図のようにしっかり刃全体を砥石にあてて研ぎましょう。
2.刃を研いだ後に必ずバリ(かえし)を取ること
次に注意するのが、刃を研いだ後に必ずバリ(かえし)が出ますので、それを必ず取って下さい。
*まずはバリが出るまで研いでください。
バリは鋼側を触るとザラザラした引っかかる感じがあるのですぐ分かります。鋼側(刃がついているのと反対のほう)を軽く研げばその引っ掛かりがなくなります。
よく鋼の方を一生懸命研ぐ方がいますが、鋼側は研ぐというよりバリが取れていれば大丈夫です。鋼側を研ぎすぎて鋼が無くなってしまうと切れなくなってしまいますので気を付けてください。
また、鋼側も刃先だけ研ぎすぎて両刃みたいになると、木に食い込んでいく感じになり、削りにくくなってしまいます。
彫刻刀と木彫ノミは片刃なので鋼側は平らじゃないと本来の切れ味が発揮できません。
苦手な方はプロに研いでもらいましょう
自分で研いでみたけど、すぐに切れなくなった、研いだらもっと切れなくなってしまった、という方もいると思います。
そういう方はぜひ一度プロに研いでもらってみてください。
送るのが面倒くさい、送料や研ぎ代などお金が掛かると思うかもしれませんが、プロにお願いしたほうがはるかに短い時間で切れ味と切れ味の持続性を手に入れることができます。
ぜひ皆さんには、苦手な研ぎに時間を取られるより作品作りに集中して頂きたいと思います。
因みに、弊社の研ぎ代は彫刻刀が一本税込330円(どんな種類でも)、木彫ノミが一本税込440円~(欠けが大きかったりする場合は変わってきます)になっております。
弊社は自社の彫刻刀・木彫ノミはもちろんのこと、他社の彫刻刀・木彫ノミも同じ価格で研ぎ直しいたしますので何かありましたらこちらよりお気軽にご相談ください。