衰退する打刃物業界でなぜ河清刃物は生き残ってこれたのか⁉
前回のブログ「越後与板打刃物の歴史」の最後に少しお話ししましたが、衰退してきている越後与板打刃物業界でなぜ河清刃物が生き残ってこれたのか、その理由を今回はお話ししていきたいと思います。
理由は4つあります。
- 木彫り用ノミや彫刻刀など趣味で使われる道具がメインだったため
- 問屋さんを通さず小売店に納品、展示販売で直売ができるため
- 複合鋼材を使っているため
- 鍛造材を使っているため
1. 木彫り用ノミや彫刻刀など趣味で使われる道具がメインだったため
弊社は初代(私の祖父)の頃から大工道具の製造がメインではなく、木彫ノミや彫刻刀など趣味や彫り物教室で使われる道具を中心に製造しています。
*詳しくは「越後与板打刃物の歴史」をご覧ください。
2. 問屋さんを通さず小売店に納品、展示販売で直売ができるため
刃付けを自社で行い(一部特殊な製品は研屋さんに刃付けを依頼します)、柄入れは弊社から木工屋さんへ依頼して、自社で製品を完成させるようにしています。
そうすることで小売店に直接納品できたり、展示販売で直売できたり、オンラインショップで販売できたりと、販売チャンネルを多く持っていたことも生き残ってきた理由のひとつだと思っています。
*詳しくは「越後与板打刃物の歴史」をご覧ください。
3.複合鋼材を使っているため
複合鋼材とは、鋼と地金をロール圧延により接着された材料です。
地鉄には極軟鋼を主体とし、刃鋼には刃物の切れ味を左右する不純物の少ない、特別吟味された安来刃物鋼を使用している複合鋼材を信頼できる材料屋さんから買って使っています。
難度の高い鋼付けを機械で行うことによってコストダウン、納期短縮、大量生産に対応できます。また品質も安定しています。
4.鍛造材を使っているため
鍛造材とは、鋼と地金をロール圧延により接着し、形状・厚みから難しいといわれるノミの鍛造を圧延と同時に成形した高品質な材料です。この鍛造材を信頼できる材料屋さんから買って使っています。
難度の高い鋼付けと手間のかかる成形を機械で行うことよってコストダウン、納期短縮、大量生産に対応できます。また品質も安定しています。
まとめ
鋼付けは鋼と地金を接着する際の温度の見極めが難しかったり、その時に空気が入らないようにしたりと熟練の技術などが必要です。その難しさ故、鋼付けが上手くいかない鋼と地金がちゃんとくっつかず、使っているうちに鋼が剥がれるなどの不具合が出てきます。
また、全て手作業のため価格も高価になってきます。
私たち河清刃物は、越後与板打刃物の特徴である鋼付けは行っていませんが、それ以外の越後与板打刃物の技術を継承しています。
祖父(初代)、父(2代目)、今まで弊社で働いてきた職人たちは間違いなく越後与板打刃物の技術を継承してきた職人です。
そして私(3代目)と今いる職人たちが越後与板打刃物の技術をこれからも継承していきます。